水稲の育苗管理について

【本ページに関する問い合わせ】
川越農林振興センター
農業支援部
TEL:049-242-1804

昨年の4~5月は気温が高くなる日が多く寒暖差も激しかったため、育苗時の水不足による苗の生育不良や立枯病、ムレ苗が一部で見られました。水稲苗の良し悪しはその年の収量や品質を左右しますので、基本技術の励行を心がけましょう。

1 床土の準備

  1. ①床土は熱処理等により滅菌された「水稲育苗培土」の購入・利用がおすすめです。自分で床土を作る場合は、畑の土は使用せず、病気の発生がなかった水田の土を使用しましょう。
  2. ②床土ph4.5~5.5が最適です。
  3. ③育苗箱や保温資材は、事前の洗浄・消毒が重要です。特に、前作や前々作で立枯病等の発生があった場合は、必ず育苗箱を消毒しましょう。

2 種もみの準備

  1. ①品種特性を保持するため、種子更新は毎年行いましょう。
  2. ②充実した種子を選ぶため、塩水選を行います。水10lに対し、うるち米なら2.1kg、もち米なら1.5kgの食塩を溶かした液に種もみを入れ、浮いてきたもみを取り除きます。塩水選後は、必ず水洗いを行い、塩分をよく洗い流しましょう。
  3. ③種子伝染する病害虫(いもち病、ばか苗、イネシンガレセンチュウ等)を防除するため、種子消毒を行います。種子消毒には温湯消毒と薬剤による消毒があり、温湯消毒はJAで受け付けていますので、事前に実施日時等を確認しておきましょう。
  4. ④種もみを一斉に発芽させるため、必要な水分を吸収させる浸種を行いましょう。浸種は水温×日数=100℃(コシヒカリは120℃)が目安で、水温15℃の場合は約7日間となります。なお、水温が10℃以下では、発芽不良等を生じる場合があります。また、酸素不足を防ぐために2~3日に1回は水を交換しましょう。(薬剤消毒の場合は、効果が薄れるので初日の3日間は水を替えないようにします。)

3 種まき

    1. ①浸種後は催芽機などで30℃に加温し、図1のはと胸状態になるまで芽出しを行います。加温時間は一晩を目安としましょう。
図1 はと胸状態の種もみ
  1. ②播種量は乾もみで80~100g、催芽もみで100~125gを目安に薄播きを心掛けましょう。厚播きは軟弱徒長を助長し、苗いもちや植え痛みの原因となります。また、播種後は被覆資材の利用による保温を図り、発芽を促進しましょう。

4 育苗中の管理

  1. ①育苗期間中のかん水は、床土の表面が乾いた朝~午前中に1回が基本です。天候条件や土の乾き方に合わせて、育苗初期は1~3日程度おき、後半は朝と昼に実施し過湿・過乾を避けるようにしましょう。
  2. ②温度は35℃以上の高温や、10℃以下の低温を避け、表1を参考に、適温を保ちましょう。
時期 適温
播種当日~3日頃まで
(出芽が揃うまで)
30℃
播種後4日~7日頃まで 20~25℃
・35℃以上にしない
・初期に直射日光に当てない
15~20℃
・15℃以下にしない
播種後8日~田植えまで 20~25℃
・20℃前後で太陽光や外気に当てる
10~15℃
・田植え4~5日前には外気に当てるが、9℃以下は厳禁
表1 育苗期の温度管理

5 田植え

  1. ①稚苗は葉齢2.0葉程度、中苗は葉齢4.0葉程度が田植えの適期です。
  2. ②重要病害虫対策のため、田植え前の箱施用剤散布がおすすめです。
    「彩のきずな」は紋枯病に、「コシヒカリ」はウンカ類に登録のある箱施用剤を使用しましょう。