令和4年産水稲の作柄と次年産にむけて

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1 作況指数(10月25日現在)

関東農政局が発表した埼玉県の作況指数は、「101」の平年並み、埼玉県西部も「101」の平年並みでした。

2 水稲の生育概況

(1)育苗~中干しまで

5月から6月の気温が安定せず、育苗時のムレ苗などの症状が一部で見られました。
田植作業は天候に恵まれ順調に進捗し、活着も良好でした。
しかし、平年より気温が低く推移したことから、初期分けつの発生は停滞していました。

(2)中干し~出穂期まで

令和4年産はカラ梅雨と高温が続いたため、中干しが近年になくうまくできた圃場が多くありました。
ただし、6月上旬植の圃場の中干しは、7月の戻り梅雨の影響で5月植ほどの効果は見られませんでした。
中干しが十分にできた圃場では、穂肥でヨードカリ反応55~60%の染色率があり、窒素分で1~2キログラム強/10アールの施用ができました。

(3)出穂~収穫まで

初期生育は遅れていたものの、この時期にはどの栽培ステージも平年並みに戻りました。
出穂後の高温が心配されましたが、真夏日になる日数は少なく、8月上旬は夏日にも届かない日が数日ありました。
病害虫については、減収を招く病害虫の発生はなかったものの、コシヒカリに縞葉枯病、彩のきずなに紋枯病が散見されました。
また、葉いもちは発生していませんでしたが、気温の影響で穂首いもちが発生した圃場がありました。

(4)まとめ

平年と比較し、気温の変化は大きかったものの、中干しが十分にでき、穂肥がしっかり施用できたことや出穂後の日較差が大きかったことにより、豊作型の作柄となりました。
また、品質についてはコシヒカリで乳白等未熟米により2等となったものの、彩のきずなはほぼ1等となりました。

3 次年産に向けての病害虫対策

令和4年産では大きな被害にならなかったものの、多発すると大きな減収となるものがいもち病です。そこで、いもち病の対策として、以下のとおり参考にしてください。

  • ①いもち病に抵抗性がある品種を作付けます。(「彩のきずな」等)
  • ②種子は、採種ほ産種子を使用します。
  • ③種子の薬剤消毒を実施します。
  • ④ケイ酸資材の施用は、いもち病の発病を抑える効果があります。
  • ⑤窒素肥料の多量施用を避けます。
  • ⑥補植用の置き苗は、いもち病の感染源になりますので、早めに処分してください。
  • ⑦省力で防除効果の高い箱施用薬剤を使用します。
  • ⑧田植後におけるいもち病の薬剤防除は、薬剤の効果を確認し、発生状況に応じたア~ウの適切な防除を心掛けてください。
    • ア 葉いもちで急性型の病斑を確認したら、速やかに治療効果のある薬剤を散布してください。
    • イ 葉いもちが多く発生し、上位葉で病斑が確認された場合は、穂いもちへの移行が心配されるため、穂ばらみ期と穂ぞろい期に予防効果のある薬剤を散布してください。
    • ウ 埼玉県病害虫防除所が発表する葉いもちの感染好適条件の出現状況を参考に早期発見に努めてください。

病害虫防除所ホームページはこちら

いもち病(葉いもち・急性型)
埼玉県の農作物病害写真集より転載