地元を味わう、地元で触れ合う―
農園カフェで楽しむ

たっぷりの愛情で育った素材とその味を活したメニューが、
訪れる人々に笑顔をもたらす農園カフェ。
太陽が降り注ぐこれからの季節には、テラス席でゆっくりと地元を楽しみたい方も多いはず。
今月号の特集では、ホッとするひととき・・・・を味わえる農園カフェを紹介します。



山口農園 梅凛caffee

梅が持つ魅力を堪能
“人と人とをつなぐ”憩いの場

梅の産地として知られる越生町で、「山口農園」を営む山口由美さん。2月中旬、由美さんは300本を超える梅の木の剪定作業で大忙し。「梅の花が咲くまでに終わらせないと…」と黙々と作業に励みます。
同園では毎年初夏を迎えると、生梅のもぎ取りや梅ジュースづくりなどの農業体験を行っています。そうした中、体験だけでは伝えきれない梅の魅力を“料理”を通じて伝えようと昨年5月、“梅で人と人とをつなぐ”をコンセプトに「梅凛caffe」をオープンしました。同園に併設したお店は、75年前に蚕の飼育に使用されていた建物をリノベーション。昔ながらの外装がレトロな雰囲気を醸し出します。

「皮が薄いので優しくね」と「べに梅」をゆっくりお皿に取り分けます。

店内のテーブルなどは当時、蚕の飼育に使用されていた木材を使用。地元の方とは、昔話で盛り上がります。

「梅凛caffe」の店長は曜日ごとに変わるため、日替わりで違ったメニューを楽しむことができます。中でもイチ押しのメニューは、樹齢92年の梅の木などから収穫した梅干しの食べ比べ。梅は品種ごとに特徴が異なるため、自分の好みを知るキッカケになるかもしれません。オススメのデザートは、娘さんが焼いた生地に「織姫」を原料にした餡などを挟んで味わう「手作り梅ドラセット」。人気の梅ジュースとの相性も抜群です。また、毎週土曜日には、お父さまと一緒に作るオリジナルのピザを味わうことができます。剪定枝を薪として使い本格窯で焼いた手作りピザは、老若男女を問わず大好評です。
「梅凛caffe」には常連客も多く、中には農業を手伝ってくれるお客さまもいるとか。まさに “人と人とのつながり”を生み出すお店と言えるでしょう。由美さんは「梅は、目で楽しむことができる。また、鼻で香りを感じ、舌で味わうこともできる。より多くの方に思う存分、梅を堪能してもらえたらうれしい」と笑顔を見せました。

どれも梅を使った自慢の料理。自園で収穫した野菜ピザ(左)は、3種類の自家製ドレッシングで召し上がれ。/「彩のきずな」を使用した大きいおにぎり(右上)と「手作り梅ドラセット」(右下)はどちらも大人気!

店内では、梅の加工品も販売しています。「ぜひ、自宅でも自慢の梅を味わってください!」

由美さんは梅の他、米や季節野菜を栽培しています。前職は幼稚園の教員として働いていましたが、義父の懸命に励む姿に影響され、梅農家を継ぐことを決意。以降、女性農家として越生町特産の梅を広めようと、日々奮闘しています。
「梅凛caffe」では、梅の魅力を堪能できる憩いの場です。お客さまとの会話を大切にし、梅の生育状況から何気ない話まで訪れた人々皆で楽しむことができます。由美さんの想いは、お客さまにもしっかりと届いているようです。

山口農園 梅凛caffe

住所/越生町上野東4-13-6
電話番号/ 049-292-6358
営業時間/11:00~
(※18:00~21:00は予約制です)
定休日/ 不定休
※駐車場あり(7台分)


ところざわ Blueberry Farm Cafe

住宅街に浮かぶ異空間
都市型ブルーベリー農園&カフェ

カンカンカンカン――。
「西所沢駅」徒歩10分の所沢市上新井。西武イエローの電車が颯爽と通過し警報音が鳴り止むと、住宅街に再び静寂が訪れます。そして、踏切を渡るとすぐ目の前には、住宅街とは似つかわぬ小高く広大な空間が目に飛び込んできます。そうです。この異空間こそが、今回ご紹介する「ところざわBlueberry Farm」と「同 Cafe」なのです。

カフェ前の農園入口。シーズン中は、たくさんのブルーベリーが私たちを出迎えてくれます。入口・トイレは、安心のバリアフリー対応です。

メニュー表の下では、バジルを自家栽培。マルゲリータの具材として使用します。

経営するのは、すぐ近くで自動車整備工場を営む森田一浩さん。森田さんは、多品種で知られるブルーベリーの魅力をもっとたくさんの人に知ってもらおうと一昨年6月、農園をオープン。併設するカフェも同時にオープンしました。カフェの入口や店内では、赤い英国車が私たちを出迎えてくれます。
メニューは、軽食から飲み物までを用意。中でも、500℃以上の高温で一気に焼き上げる本格石窯ピザ(計6種)はいちばんのオススメ。「耳までおいしい!」と評判です。この他、果肉入りフルーツ炭酸ジュース(計4種)や、ブルーベリースムージーなども見逃せません。豊富なラインナップで、選ぶだけでも楽しくなってきます。

「ゆったりと、のんびりとくつろげるように」とウッドデッキテラス席を設置している「ところざわBlueberry Farm Cafe」。ペット連れでも気軽に立ち寄ることができるため、近所のお子様連れからご年配の方まで多くの方が訪れます。農園の再開は6月中旬(予定)ですが、カフェは通年営業。ブルーベリー狩りを楽しんだ後はもちろん、散歩がてらに、ドライブがてらに、そしてお買い物の後に…。住宅街に浮かぶ異空間に、ちょっと足を延ばしてみるのも面白いかも知れませんね。

デザートにもオススメのブルーベリーピザ(左)と、クロワッサンの生地をワッフルメーカーで焼き上げたその名も「クロッフル」(右上)。/ドリンクのカップ(右下)は、すべてスタッフの内山さんの手書きです!

(右から)オーナーの森田さんとスタッフの内山晴佳さん、店長の辻田太郎さん。ゆったりと、のんびりとくつろげる空間を提供してくれます。

実家は、もともと農家だったという森田さん。保有する遊休農地を「どうしよう?」と悩んでいたところ、お土産でもらった絶品ブルーベリーに出会います。その味にすっかりと魅了された森田さんは5年以上の準備を重ね、満を持して開園。「品種が違えば、味も異なる。ぜひ、その違いを楽しんでほしい」と話します。
およそ3,000平方メートルの敷地で、45品種約750本が育つブルーベリー農園。3シーズン目を迎える今年も、訪れる人々を笑顔にしてくれるに違いありません。

ところざわ Blueberry Farm Cafe

住所/所沢市上新井2-7-1
電話番号/ 04-2941-5518
営業時間/ 10:30~17:00
定休日/ 毎週月曜日、第2・4火曜日
(※定休日が祝日の場合は営業。その翌日が休)
※駐車場あり(12台分)