冬のせん定作業は翌年以降の収量や品質を向上させるための大切な作業です。園全体の状態を観察し、問題点を把握する良い機会にもなります。幸水を題材として基本的なせん定方法を確認し、安定生産を目指しましょう。
隣接する樹の主枝同士がぶつかる場合、優先する側の樹の枝を伸ばせるように、もう一方の樹の主枝を亜主枝や太い側枝まで切り戻します。隣り合う主枝の先端は、間隔を60cm以上あけます。
主枝の先端部が、他の枝に比べ地面から最も高くなるようにします。主枝が最も高く、亜主枝、予備枝、側枝の順に低くします。強く伸ばしたい枝ほど高く、果実を成らせる枝は低くすることがポイントです(図1)。
枝の先端は、下芽のひとつ上の芽で切ります。
主枝は上下に波打たないように固定します。
先端の新梢は年ごとに左右ジグザグに誘引するため、切り口の向きが前年と反対側になるようにします。
側枝同士は重ならないよう、同じ方向に配置し、側枝同士の間隔は40cm程度とします。
基部の直径が3cmを超える側枝は、速やかに更新します。
継続的に予備枝を準備し、側枝を更新できるように、枝を配置しておきます(図2)。
予備枝は45度に誘引し、先端は下芽のひとつ上の芽で切ります。
太さは8~15mm(鍋ツル式の場合は10mm以下)、長さは35~45cmが目安となります。
結果枝と予備枝が交互に並ぶイメージで設置するのがポイントです。
先端が上芽になるように切り戻します(4~5芽切り戻す)。
先端は添え竹等で棚面にしっかり結束することが大事です。
先端は棚面から20cmの高さに切り、花芽をかいて直立させます。
直立させた先端は棚線と三角形を作る要領で、3点結束します。倒れないようしっかり固定しましょう。
中果枝は葉面積の確保とともに、日焼け予防の目的として側枝の中の1本を利用します。
せん定後は切り口に速やかに癒合剤を塗布し、切り口の癒合促進を行いましょう。
作業の効率化や生産安定の観点から、せん定道具や梨棚の管理・整備は大事になります。せん定ばさみやノコギリの研磨、ヤニ取り、棚全体の点検や棚線の締め直しなどを行いましょう。
冬のせん定や点検作業が翌年以降の安定生産につながります。未来に思いを
埼玉県川越農林振興センター
農業支援部
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