「大野元裕埼玉県知事に問う県の農業への取り組みについて」

今年8月、2期目の再選を果たした大野元裕県知事。JAは酷暑を乗り越え旬を迎えたサトイモの状況報告のために大野元裕県知事を表敬訪問しました。
訪問時には対談も行われ、埼玉県産の農産物の魅力や世界農業遺産に認定された「武蔵野の落ち葉堆肥農法」について、埼玉県の農業の今後の展望など、組合員の皆さんがより良く農業に取り組むための意見交換がされました。
今号では、対談の様子を分かりやすくまとめてご紹介します。

埼玉県産の農産物について

亀田組合長:JA管内は特産のサトイモをはじめ、ホウレンソウやエダマメなど様々な農産物が栽培されており、JAとしてもその維持のために尽力しています。県知事として、埼玉県の農産物についてどのようにお考えですか?

大野県知事:私が考える埼玉県の農業の特色として3つの事柄が挙げられると思います。まず1つ目としては「首都圏近郊に位置していること」です。埼玉県は恵まれた自然条件を生かした良質な野菜や米、花卉、畜産など多彩な農産物が生産されています。JAいるま野のサトイモにも代表されるように、ネギやホウレンソウなど全国一位の農産物が多くあり「ブランド農産物」として認知されています。そういった農産物を首都圏近郊という立地を生かし、流通コストを下げ、新鮮な状態のまま提供する、つまり「近いがうまい」を実践することで「稼げる農業」の農産品として売り込んでいきたいと考えています。
また、2つ目としては「野菜の様々な楽しみ方を提案すること」です。JAいるま野のサトイモは都内の高級料亭などにも「埼玉のサトイモ」として指定で納品されていると聞き及んでいます。上品な味わいもさることながら、大小さまざまな等級が用意されていることで、一般的な煮物以外にも揚げ物など様々な用途で楽しめると思います。サトイモ以外にも、埼玉の農産物は限られた用途の使い方だけでなく、様々な用途で消費者の方に楽しんでもらえるということを県としても広くPRしていきたいと思っています。
最後に3つ目は、「良質な品種の開発に力を入れること」です。第1回全国いちご選手権で最高金賞を受賞した「あまりん」・「かおりん」のように良い品種が作られると自然と消費者から選ばれるものになっていきます。そうした消費者のニーズに加えて、県もPRの一環として、毎年JAグループと共同し、大田市場でトップセールスを行っています。埼玉の良質な農産物のPRは今後も継続して行っていきたいと考えています。

地域の伝統文化の保存について

亀田組合長:今年の7月に「武蔵野の落ち葉堆肥農法」が世界農業遺産に認定されました。今後の事業承継に対して、しっかりと農の文化を伝えることは大切だと思っています。いかがでしょうか。

大野県知事:「武蔵野の落ち葉堆肥農法」は、360年という長きにわたって、なおかつ大都市圏の50キロ圏内で認定されることは、世界的にもとても珍しいことだと理解しています。私たちが次の世代にしっかりと伝えていかないといけない農業遺産だと思っています。こういった伝統農法を今後も続けていくためには、まずは多くの県民の方々に知っていただいて、共感していただくことが大事だと思っています。そして、その農法で栽培した農産品を買っていただくことと、訪れていただき「こういう場所なのか!」などと景観を知っていただくことが大切だと思います。まだまだ若い方は、知らない方も多くいます。しかし、若い方にこそ知っていただきたいですね。皆さん驚くと思いますので、広げていきたいですね。
また、県には地元野菜を使ったおしゃれなカフェなどもあり雰囲気を感じてもらえると思いますので、若い方にも積極的にPRしていきたいです。

埼玉県の農業の今後の展望について

亀田組合長:埼玉県の農業の今後の展望についてお聞かせください。

大野県知事:まず必要なことは「生産性を上げること」だと考えています。耕作放棄地が出てしまうことは仕方ありませんが、その分スマート農業の普及や施設園芸農業などに対して新しい技術の導入を行うことで、全体の生産性を上げていく必要があると思っています。また、農地の集約化や集積にも工夫が必要だと感じています。具体例として、果樹園などでは土地を綺麗にしてから返却してしまうケースが見受けられ、そういったケースは憂慮すべきだと思っています。例えば「安心・安全」であるという点をアピールし、若い方にその返却される土地の一部を集積し活用してもらうなどの工夫が必要であると考えています。
加えて、若手農家の事業承継や担い手不足などにも課題があると感じています。まずは間口を広げて、多様な方々に参画していただき、埼玉の農産物の魅力を知ってもらった後は、県としても農業で稼いでいけるように応援していきたいと思っております。

亀田組合長:大野知事の仰ることも踏まえ、私も組合長としてJAいるま野管内の農産物を守るためにも「おいしい土づくり」からしっかりと取り組むことが大切だと考えています。そしてその取り組みが県が推進する「近いがうまい」の農産物に繋がると思っております。

大野県知事:亀田組合長の仰るとおり、県が推進する「近いがうまい」を実現していくためにも「おいしい土づくり」は重要な要素だと思っております。皆さんがその取り組みに共感していただけるはありがたいことだと思います。
いずれの働きかけに対しても、地元農家の方だけでなくJAからの支援も重要です。県として活動できる範囲も限れているところがありますので、農家の方と間を取り持つ存在として、今後もJAからの協力をお願いできればと思っております。

亀田組合長:県知事からの力強いお言葉、ありがとうございます。JAとしても今後も県と連携し、農業の発展のために努めていきたいと思っております。

大野元裕のプロフィール

生年月日1963年11月12日 埼玉県川口市生まれ

  • 主な経歴
  • 1987年慶応義塾大学法学部政治学科 卒業
  • 1989年国際大学国際関係学修士課程修了(中東地域研究専攻)
  • 1989年~1997年国際大学中東研究所非常勤研究員
  • 1989年~1993年外務省日本大使館専門調査員(イラク、アラブ首長国連邦)
  • 1993年~1995年財団法人中東調査会研究員
  • 1994年外務省国際情報局分析第二課専門分析員
  • 1995年~1997年外務省日本大使館専門調査員(カタール)
  • 1997年~2001年外務省日本大使館書記官(ヨルダン、シリア)
  • 2001年~株式会社ゼネラルサービス取締役統括本部長、取締役
  • 2004年~2005年東京大学教養学部非常勤講師
  • 2005年~2010年財団法人中東調査会上席研究員
  • 2005年~2010年防衛省防衛戦略委員会委員
  • 2005年~2006年敬和学園大学非常勤講師
  • 2007年~2009年経済産業省イラク委員会、中東協力センター・イラク委員会共同座長
  • 2008年~2009年青山学院大学大学院非常勤講師
  • 2008年~2010年財団法人日本エネルギー経済研究所客員研究員
  • 2010年~2011年ライオンズクラブ国際協会330C地区(埼玉県)ガバナー
  • 2010年参議院議員(埼玉選挙区)初当選
  • 2012年防衛大臣政務官兼内閣府大臣政務官
  • 2016年参議院議員(埼玉選挙区)当選(2期目)
  • 2019年8月第61代埼玉県知事に就任
  • 2023年8月第62代埼玉県知事に就任
  • 趣味
  • スポーツ全般(アメリカンフットボール、水泳、柔道)
  • 音楽(学生時代はバンドでベースを担当)
  • 落語、漫才、映画鑑賞
  • 座右の銘
  • 立国は公にあらず私なり