ナシ新梢管理のポイント・品種について

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川越農林振興センター
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1 新梢管理(100日誘引)

新梢を誘引すると新梢の伸長停止期が早まり、枝が充実し、えき花芽の着生が増加します。
また、誘引によって樹冠内の日当りが良くなり、果実品質を向上させます。
誘引の時期は、満開後100日頃です。骨格枝の側面~下側から発生した新梢で、次年度側枝として利用できそうな1m以上伸長した新梢を選び誘引します。誘引角度は棚面に対し45度が適当と考えられますが、新梢の太さや長さ、主幹からの距離等に応じて適宜調整します。
誘引で枝の肥大を抑え、優良な側枝候補枝を育成しましょう。

図1 新梢の誘引

2 ナシの品種構成を見直しませんか?

近年の気候変動に伴い、ナシの品質の低下や生産の不安定さが懸念されています。そこで、新品種や優良品種を導入し、労力分散、収益性、危険分散等を考慮した品種割合にすることで、切れ目なくナシを生産できる体制を築くことができます。

新品種

◯「蒼月」

「蒼月」は、農研機構が育成した、極早生品種の青ナシです。交配は「なつしずく」×「はつまる」。
収穫期は7月下旬~8月上旬と旧盆より前に収穫でき、貯蔵性は「幸水」と同程度で7日程度です。果形は円形で、芯腐れ、裂果の発生は見られず、みつ症は軽微です。苗木の販売時期については未定です。

優良品種

◯「あきづき」

やや晩生の赤ナシで、豊水と新高の間に収穫できます。果実は扁平形で、日持ちは10日前後です。
芯腐れ、みつ症などの生理障害の発生は少ないですが、水浸状の果肉障害やコルク症果肉障害が発生することがあります。

◯「甘太」

晩生ニホンナシ品種で、新高と同時期か、やや遅い時期に収穫できます。日持ち性は豊水と同程度です。交配は「王秋」×「あきづき」。新高より、果肉が柔らかく、高糖度で食味が優れるのが特徴です。
甘太は、県内でナシ疫病の罹病事例があります。主幹部の泥はね対策や罹患部の早期発見・除去などの主幹の病害対策を行うことが重要です。

図2 蒼月(農業技術研究センター 久喜試験場)
表1.樹体・果実特性(農研機構 果樹茶業研究部門)
品種 樹勢 枝の
発生密度
短果枝
の着生
えき花芽の
着生
開花
中央日
収穫
中央日
果実重
(g)
糖度
(%)
果肉
硬度
蒼月 やや強 やや少 4/11 7/29 367 12.4 4.8
あきづき 4/12 9/4 576 12.4 4.9
甘太 やや多~多 4/8 9/29 571 14.7 4.4
幸水 やや多 4/11 8/17 366 12.4 5.6
品種 樹勢 枝の
発生密度
短果枝
の着生
蒼月 やや強 やや少
あきづき
甘太
幸水
品種 えき花芽の
着生
開花
中央日
収穫
中央日
蒼月 4/11 7/29
あきづき 4/12 9/4
甘太 やや多~多 4/8 9/29
幸水 やや多 4/11 8/17
品種 果実重
(g)
糖度
(%)
果肉
硬度
蒼月 367 12.4 4.8
あきづき 576 12.4 4.9
甘太 571 14.7 4.4
幸水 366 12.4 5.6