農家自らが営む
農家レストラン

農家自らが営むレストランはいわば地産地消。
農家が丹精込めた農畜産物を地元で堪能しませんか。
今月号の特集では、農業とレストラン経営の二刀流で奮闘し、 多忙を極める2人の農家レストランを紹介します。

県を代表する高級地鶏「タマシャモ」を味わえる地鶏専門店。都内の中華料理店で経験した店主がふるまう歯切れの良いシャモと自園で収穫した米と野菜を使用した自慢料理。地鶏を味わうにはこの店!


都内や海外で和食料理の腕をふるった店主が作る趣向を凝らした定食が味わえる食堂。米農家が誇る自慢の白米と地産地消にこだわった野菜や旬の魚などが楽しめる。一品一品が丁寧に作られた本格和食に舌鼓を打つこと間違いなし。


タマシャモ料理穂久柳坂戸市芦山町

❶4時間かけてシャモからだしを取り、米にふくませ炊いた「しゃもめし」。お近くのJA農産物直売所で購入できます。
※お店で購入する場合は要予約。
❷1番人気の「しゃもステーキ&ご飯」。白米も小鉢も農園で収穫した農産物を使用したランチセットです。
❸「しゃも塩ラーメン」。あっさりとしていてコクがあり、病みつきになること間違いなし!

坂戸市にあるタマシャモ料理「穂久柳」。(株)おじま自然農園で飼育している県を代表する高級地鶏「タマシャモ」と、栽培している農産物を「穂久柳」で使用している農家レストランです。経営しているのは尾島一正さん( 66)。タマシャモを年間1万2000羽飼育し約4ヘクタールの面積に米(主食用米、飼料用米)を栽培するほかホウレンソウやダイコン、ハクサイなどを栽培しています。尾島さんは「県内で4戸ほどあるシャモ養鶏農家の中でもうちのタマシャモは放し飼いをしているため、肉は締りがあり歯切れが良く鶏独特の臭みはない。雨にも風にも負けず厳しい環境の中でストレスを与えずに飼育された鶏本来の生命力を引き出した飼育をしている」とタマシャモのおいしさの秘訣を話します。
やはり気になるのはメニューです。50年ほど前、都内の中国料理店で7年間働いていた尾島さんがふるまう1番人気は「しゃもステーキ&ご飯」です。タマシャモをシンプルに焼き上げたステーキと自園で収穫した米「コシヒカリ」のセットに半ラーメンと小鉢付きのお得なセットです。尾島さんは「肉質を活かした自慢のメニュー。歯切れの良さが一口で分かるメニューです」と太鼓判を押します。もう一つの人気メニューはお弁当「しゃもめし」です。「4年ほど前からJA農産物直売所でも販売していて人気がある。実は、米の消費にもつながっているんですよ」。一度は味わってみたいですね。
最後に今後の抱負を伺いました。
「今年から20代と40代の若手正社員が2人増えた。今後は安心して若手の2人に継承できる。引き続き『穂久柳』の味を多くの方に味わっていただきたい」。
尾島さんの愛情がこもったタマシャモ料理が、今日も多くのお客さまを魅了することでしょう。

【住所】坂戸市芦山町30-8
【TEL】049-284-3979
【営業時間】11:30 ~ 14:00
※17:00 ~はスープが無くなり次第終了
【定休日】 火曜日・第3水曜日
【駐車場】 約20台


栁下農園たべもの畑 栁した富士見市下南畑

❶彩り鮮やかな品々が並ぶ「和定食」。父の春良さん(73)の農園で栽培された野菜も使っており地産地消にこだわります。
❷ボリューム満点の一品「トンカツ定食」。小鉢やサラダも一つ一つ丁寧に手作りしています。
❸柳下さん自慢の白米。もちもち食感と豊かな甘み。まさに定食の主役です!

富士見市の難波田城公園のほど近く、田園風景が広がる畑の中に一軒の食堂が…。和食を中心に定食などを提供する「たべもの畑 栁した」です。営むのは、栁下良貴さん(43)。南畑地域に約11ヘクタールの面積で米を栽培する米農家です。栁下さんは調理の専門学校を卒業後、都内の料理店や海外で和食の腕を磨き、みずほ台駅前で割烹料亭を開きましたが、代々続く農家を継ぐため、2017年に就農をしました。「農業を学びつつ、自分の経験が活きることをしたい」という想いから、自身が育てた米や近隣農家・JA農産物直売所から仕入れた野菜を中心に使い地産地消にこだわった「たべもの畑 栁した」を同年12月にオープン。食堂の脇にはハウスを改造した飲食スペースも備え、来店したお客様からは「ハウスでご飯は食べたことはない!」と驚きの声が挙がると言います。
メニューは定食など6種類を用意。「和定食」は、旬の魚や天ぷらを主菜に、地元で採れた野菜などをふんだんに使ったサラダや小鉢などの9品目が並ぶ贅沢な一品に仕上がっています。「トンカツ定食」は、サクサクとした食感のカツとバランスの取れた副菜が並び、老若男女のお腹を満たすボリューム満点の一品です。
「どの定食でも白米に合うように副菜を考えています。うちの定食のメインは白米です!」と話す栁下さん。白米は「彩のきずな」や「コシヒカリ」ともち米をブレンドすることで、もちもちと柔らかい食感に仕上げる工夫をしているとのこと。米農家として、米にこだわるひと工夫が食べた人の心を喜ばせます。
営業期間は米の農繁期を過ぎた11月中旬から3月中旬までの期間限定。珍しいハウスの飲食スペースと手軽で本格的な和食を味わいに足を延ばしてみるのはいかがでしょうか?

【住所】 富士見市下南畑621
【TEL】049-265-7955
【営業時間】11:30 ~ 14:30
※14:00ラストオーダー
【定休日】 不定休
※休みについては軒先掲示のカレンダーを参照
※営業期間は11月中旬~3月中旬まで
【駐車場】 約2台