冬の施設トマトの管理

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冬の施設トマトの管理

施設栽培のトマトにとって、気温が下降し日射量が減っていくこの時期は、環境条件に合わせた栽培管理が必要になります。
この時期の施設栽培トマトには様々な作型がありますが、8~9月に播種して6月頃まで栽培する促成栽培を中心に、冬季の栽培管理について紹介します。

1 温度管理

12月~3月中旬頃までの温度管理のイメージは図1のようになります。
朝は、4時頃から徐々に加温して日の出時には15℃程度まで上げ、光合成の準備をします。果実の肥大が進んでくると、気温と果実温との温度差により果実結露が生じやすいため、段階的な加温ができる場合は1時間に2℃以内の温度上昇にとどめましょう。
昼間の気温は23~26℃とやや高めにして光合成を促進し、夜温は10~12℃とします。昼夜の温度差をつけることで、栄養生長に傾きやすいこの時期に生殖生長に向けることができます。
日没前30~45分頃に強い換気を行い急激に温度を下げることで、果実だけが温かい状況をつくり、光合成産物の転流を果実に集中させることができます。湿度を下げる効果もあり、病害の低減にもつながります。

図1 12月~3月の温度管理イメージ

2 受光態勢の管理

11月中旬~1月上旬は1年間のうちで最も日射量が少ない時期です。この時期は不要な葉を除去して葉を少なめに制限し、日射を有効活用しましょう。
この時期に葉を減らす有効な手法に「トップリーフ摘葉」があります。これは、果房のすぐ上のまだ展開しきっていない若い葉を摘葉する技術です(図2)。この葉は果実の肥大にはあまり役立っていないため、展開する前にとると、葉で使う光合成産物が果実に回されて果実の肥大が良くなるといわれています。
光合成産物の無駄を省く意味では、なるべく小さいうちに摘葉することが望ましいです。ハサミでピンチしてもよいですし、ごく小さいうちであれば爪で摘み取ることも可能です。

図2 トップリーフ摘葉

3 注意したい病害・生理障害

(1)灰色かび病

果実や葉、茎などに灰色のかびを生じます。葉先枯れや枯れた花びらに多く発生し、わき芽をかいた痕から茎に侵入すると株全体が枯死することもあります。
薬剤の予防散布を励行し、発病したら病斑部は取り除いてハウス外に持ち出しましょう。
また、多湿条件で発生しやすく、特に植物体の表面が濡れるとまん延しやすいため、換気や早朝加温などで結露の発生を防ぎましょう。

(2)空洞果

果実のゼリー部が空洞となった障害果で、食味が悪く、外見からも商品価値が低下します。
主な原因は、光合成産物の転流が不足することです。
対策は、11月~12月に摘果を徹底して果実数を制限することや、果実に光が当たるよう摘葉や玉出しを行うこと、昼夜の温度差を大きめにして生殖生長を促すことなどです。