JAいるま野広報 2016年7月号 No.243
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営農情報川越農林振興センター 農業支援部☎〇四九(二四二)一八〇四 川越、所沢、狭山等の露地野菜産地の周辺には、直売経営の広がりにより多彩な野菜が生産されるようになってきました。中でも、ねぎ、キャベツは、近年、主要な品目になっております。一方、土壌は火山灰土壌のためりん酸吸収係数が高いほ場が多く、それら野菜の収量が他産地より低い傾向にあります。 そこで、農研機構東北農業研究センターが開発した「定植前りん酸苗施用による野菜苗のりん酸減肥栽培」により野菜の生産性を向上するために、現地実証ほで検討を行いました。その結果、ねぎ、キャベツなどで効果が確認されました。簡易な技術で収量アップ○定植前に苗を高濃度りん酸液肥を浸積処理することで、初期生育が早まり、収量が増加します。○キャベツ、長ねぎなどでは、10%~20%程度の増収効果が期待でき、スイートコーンでは、先端不稔の減少や食味品質の向上が認められました。○本畑へのりん酸施用量を減らすことができます。処理方法 高濃度りん酸液肥に(1トレイあたり2~3リットル)苗をトレイごと浸積するか、上から散布する。注)散布処理は、キャベツ等葉の広い野菜は、葉焼けを起こす場合があるので散布後に、真水で葉についた液肥を洗い流す。 効果は浸漬処理の方が安定する。ポイント○土壌中の可給態りん酸濃度の高いほ場では差が見られないことがあります。 ○秋冬ねぎでは定植後の天候により効果の差が見られないこともあります。トマト黄化葉巻病耐病性品種も収穫終了後に処分が必須 本病害はタバココナジラミによって病原ウイルスがトマトにうつされ、トマトの新葉が黄化、葉巻、萎縮を起こし、正常な果実がならずに減収します。 近年、耐病性品種(例:アニモ・桃太郎ピース等)が利用されています。これらの品種はウイルスに感染しても、黄化症状等が表面に現れないので無病と思われがちですが、トマトにはウイルスが生存し、感染源になります。そのため、罹病性品種・耐病性品種に関わらず施設栽培の収穫終了時は施設を密閉し40℃以上10日以上の蒸込みで媒介虫のタバココナジラミを死滅させ、周辺のトマトに被害を与えないようにしてください。定植前りん酸苗施用を利用した野菜の収量アップ試験区70006000500040003000200010000対照区kg/10aL2L黄化葉巻病の症状タバココナジラミ液肥(例) トウモロコシ キャベツ・長ねぎ他サンピプラス :20倍(P205:2.30%)~40倍(P205:1.15%)ヨーゲンハイパワー:15倍(P205:2.20%)~30倍(P205:1.10%)OATハウス9号 :25倍(P205:2.04%)~50倍(P205:1.02%)キャベツの収量調査結果08「いるま野」2016年 7月号

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