JAいるま野 広報誌 2021.7|No.302
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 昨年度は、7月頃から管内の広い地域で疫病の発生が確認されました。その後、8月は雨が降らずに乾燥したため蔓延が抑えられましたが、9月の降雨で再度病斑が広がる様子が確認されました。今年度も引き続き対策が必要です。1 いつ発病するか 環境が整うと、土壌中や種芋で生き残ったサトイモ疫病の病原菌が葉や茎に感染し発病します。 日平均気温が20℃を超えるようになったら、発病する危険性が高いと考えて良いでしょう。2 病斑確認のポイント サトイモの下位葉から、また圃ほじょう場の外縁の株から発病することが多いです。つまり、圃場の外縁にある株の下位葉を重点的に確認することがポイントです。3 疫病菌の病斑 初期病斑は、葉の表面に黒いしみ状の斑点が形成されます。感染してしまうと進展が早く、可能な限り早い段階で防除することで蔓延を抑えることができます。4 疫病菌の広がり方 圃場の中のひとつの株が感染した場合、疫病菌の広がり方としては①遊ゆうそうしのう走子嚢が水しぶきなどで遠くの株に伝染する、②隣接している株に次々と伝染する、以上の2つのパターンが同時に起こります。 この2つのパターンのうち、後者の方が感染拡大への影響が大きいと考えられています。そのため、罹病した葉をすぐに取り除き、その場でビニール袋に入れ密封して処分するだけでも、蔓延をある程度抑えることができます。5 効果的な薬剤散布(※表参照) 現在、登録のある薬剤を効果的に使うことで、被害を最小限に抑えることができます。 まず、疫病が発生する前、梅雨の前後にペンコゼブ水和剤の散布を行います。 そして、疫病の発生が確認されたら、ダイナモ顆粒水和剤を直ちに散布します。この後、7〜14日空けてアミスター20フロアブルを散布します。この「ダイナモ」↓「アミスター」の散布を2回繰り返すと防除効果が高まります。 収穫時期には、軟腐病対策も兼ねてジーファイン水和剤を散布しましょう。 また、薬剤散布を行う場合は、必ずスカッシュ(展着剤)を加用してください。6 防除のポイント 畝に入っての防除は行わず、圃場外縁から、また、防除用通路を設置しての散布を行います。ただし、防除用通路を作れず農薬がかからない場合は、やむを得ず中に入る必要があります。 蔓延を防ぐ上で、圃場脇などに生えている野良生え芋の除去や、残ざんさ渣の処理を徹底してください。 また、乾燥時期にはしっかり潅かんすい水を行い、健全な植物体を育成しましょう。【本ページに関する問い合わせ】川越農林振興センター 農業支援部 技術普及担当 ☎049-242-1804写真 サトイモ疫病   病斑(葉裏面)サトイモ疫病対策表 防除に必要な薬剤薬剤名希釈倍数散布量使用時期使用回数RACコードペンコゼブ水和剤500100~300 ㍑/10㌃収穫7日前まで2回以内F:M03ダイナモ顆粒水和剤2,000100~300 ㍑/10㌃収穫21日前まで3回以内F:21, F:27アミスター20フロアブル2,000100~300 ㍑/10㌃収穫14日前まで3回以内F:11ジーファイン水和剤1,000150~500 ㍑/10㌃収穫前日まで-F:NC, F:M01スカッシュ(展着剤)2,000----[農薬使用時の注意点] ①農薬ラベルの確認 ②飛散防止 ③農薬の使用記録※資料は、令和3年5月11日時点の登録情報を基に作成しています。07「いるま野」2021.7

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