JAいるま野 広報誌 2021.6|No.301
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第一のシステム「盟友が盟友を雇用する」 私が掲げる「盟友による盟友のためのシステム」とは、これからの日本農業を明るいものとする画期的なシステムになると信じています。  現在、私は1.5㌶の畑をほぼ1人で耕作しています。出荷先としては直売所、スーパー、地元飲食店、加工会社、そして共販出荷。その時々で最適な出荷先を選定していますが、すべての取引先を満足させることはなかなか難しいのが実情です。 就農当時は父、母、祖父、叔父、そして私の典型的な家族経営でした。しかし9年前、父が突然亡くなり、我が家の経営は一変したのです。家族経営と言っても父と私がほとんどの作業を行なっていたため、1人では全く回らない。奇しくも収穫の全盛期で相当数のロスを覚悟しました。 しかし、私を心配した盟友が仕事を手伝いに来てくれたのです。彼は「ちょうど暇な時期だから」と、自分の仕事の合間に1カ月近く手伝いに来てくれました。そのお陰で最少限のロスで済み、農業へのモチベーションを保つことができました。 そこで私が考える第一のシステムは、「盟友が盟友を雇用できる」システムです。皆さん、自分がもう1人居たらもっと稼げるのになぁ…って思うことはありませんか?若い力は相当な戦力です。ですが、社員やアルバイトとして常勤させるほど人件費は掛けられない。そんな時、忙しい時だけ、1日でも半日でも雇うことができる。同じ人だけではなくその都度タイミングが良い人が来てくれるのです。 皆さん、農家って毎日忙しい時もあれば、この時期は、あるいは今週は暇なんだよなぁ…ってことはありませんか?そんな時に忙しい盟友の仕事を手伝いに行く、そんなマッチングシステムを作りたいのです。 私は大学時代、そして就農してからも他の農家で研修やアルバイトをしていました。我が家のやり方と研修先の作業の仕方は違うものです。良いものは吸収して取り入れることができますし、他の農家で働くメリットになります。研修先でも、我が家のやり方を取り入れてくれたこともあります。 また、このシステムは昨今の災害で被害を受けた盟友の助けにもなると思うのです。もちろんボランティアが来てくれることがベストですが、難しい時は盟友を雇用し復旧作業を手伝ってもらう。賃金は募金や保険、基金などで賄うことも可能です。 数年前の青年の主張で、新規就農し技術を教えてもらう代わりに高齢により経営規模を縮小していた農家に手伝いに行くという話を聞いた時、まさにこれがこれからの日本農業に必要なことだと思いました。我が家の経営をしながら収入と知識、そして労力を得られる画期的なシステムです。青年の主張「盟友による盟友のためのシステム」JAいるま野東部後継者部会 塩野 雅之さん埼玉県大会では、知事賞・優秀賞を受賞しました。(広報誌『いるま野』2020年12月号10ページ参照)青年の主張「オールドルーキー」(福島県)JA会津よつば青壮年部只見支部 吉津紘二さん「盟友による盟友のためのシステム」(埼玉県)JAいるま野東部後継者部会 塩野雅之さん「一本の鍬(くわ)で切り開く三方原馬鈴薯物語」(静岡県)JAとぴあ浜松青壮年部 磯貝将大さん「どんな時でも、どんな年でも進み続ける」(滋賀県)JA栗東市(現 JAレーク滋賀)青壮年部 小谷隆介さん「日々挑戦する事の意味」(島根県)JAしまね斐川青年連盟 伊藤尚幸さん青年組織活動実績発表「おらほのコメが酒になる~あれから8年 酒米づくりがおれらを変えた~」(秋田県)JA秋田おばこ青年部協和支部 佐藤智治さん「『美味(おい)しい』『新鮮』『安全』『安心』国分寺三百年野菜 こくベジプロジェクト~地域の方々と、共に学びながら育んでいく『地産地食』~」(東京都)JA東京むさし国分寺地区青壮年部 内藤宏和さん「目指せ、農業の町焼津!!」(静岡県)JA大井川青壮年部 八木栄幸さん「コロナを乗り越え、未来をつくる青壮年部の人・物・知恵!!」(岡山県)JA晴れの国岡山つやま青壮年部東部支部 仁木紹祐さん第67回JA全国青年大会の発表者・テーマ03「いるま野」2021.6

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