JAいるま野 広報誌 2020.10 | No.293
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【本ページに関する問い合わせ】川越農林振興センター 農業支援部 技術普及担当 ☎049-242-1804 近年、スクミリンゴガイ(通称ジャンボタニシ)が発生しているとの報告が増えています。今年は富士見市・ふじみ野市の水田において発生が確認されました。移植後のイネが食べられる被害も出ていることから、発生地域では次期作までに対策を行いましょう。1 スクミリンゴガイとは   ジャンボタニシとして広く知られている貝であり、食用として海外から持ち込まれました。古くから水田に生息する在来種のタニシとは異なります。水田内に侵入すると、田植え後の柔らかいイネを食害するため、欠株が生じて収量に影響することがあります(写真1)。   成貝は3㌢を超える大きさになり、リンゴのように丸い形をしています(写真2右)。また、成貝がイネの茎などに産み付ける卵塊(写真2左)は、鮮やかなピンク色をしているのが特徴です。2 食害を防ぐための対策 ⑴ 冬季の耕うん   スクミリンゴガイは寒さに弱いため、冬季の耕うんにより貝の密度を減らしましょう。土中で冬眠している貝を掘り返して冷気にさらすとともに、貝を砕きます。耕うんの深さは浅めで、通常の半分以下の作業速度で丁寧に耕うんします。 ⑵ 中苗・成苗で田植え   小さくて柔らかいイネが食べられやすいため、被害が予想される水田には、中苗以上で田植えをしましょう。中苗は4枚目の葉が展開した大きさであり、頑丈で被害が軽減されます。 ⑶ 田植え後の浅水管理   田植え後は2〜3㌢の浅水にすると、食害を減らすことができます。また、浅水にすると水温が上がり、イネの分げつも促進されます。 ⑷ 薬剤による防除   スクミリンゴガイの対策は前述の⑴〜⑶を基本としますが、水田の貝密度を減らしたい場合や、水田が均平でなく水が深くなる場所がある場合などは、薬剤による防除をしましょう。 ◇登録のある農薬 • スクミノン(10㌃あたり1〜4㌔㌘を散布、収穫60日前まで、2回以内) • スクミンベイト3(10㌃あたり2〜4㌔㌘を散布、発生時に散布) ⑸ 侵入防止も大切   未発生の圃ほ場でも、近隣の圃場や水路でスクミリンゴガイが発生している場合、水口から侵入する可能性があります。侵入防止には水口に1㌢ほどの網目の網袋等を取り付けましょう。スクミリンゴガイの対策写真2 卵塊(左)と成貝(右)写真1 食害されたイネ 令和2年8月1日現在の農薬登録内容で作成。農薬を使用する際には、必ずラベルを確認しましょう。農薬の飛散防止に努め、農薬の使用記録簿を付けましょう。07「いるま野」2020.10

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