JAいるま野 広報誌 2019.4 | No.276
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―卸売市場の果たしている「役割・機能」とは何ですか?富田部長… まず1つは、集荷・分荷機能です。全国から青果物を市場に集め分荷する、言わば配送拠点としての役割があります。2つ目は価格形成機能です。皆さんも目にしたことがあるかと思いますが、売手と買手が互いに値段を競い合う〝競り〞という方法で価格が形成されていきます。また、最近では売手と買手が話し合って価格を決めていく〝相対取引〞という方法が主流となっています。互いに納得のいく価格で取引ができ、安定的な取引に繫がるメリットがあります。 このほか市場価格などの情報を産地に伝える情報受発信機能や、生産者に迅速かつ確実に代金を精算する代金決済機能などがあります。―様々な取引がある中、JAや産地の「評価」はいかがですか? こうした役割をしっかりと果たしていくためには、産地から予定されている青果物がきちんと集荷されなければなりません。時期や数量さえも見通せない産地もある中、JAいるま野さんでは共販体制がしっかり確立されていると感じます。一昨年、ホウレンソウが台風の影響を受けた際には、小西さんを中心にJA担当者がしっかりと対応してくれました。「○○頃、○○位の量なら出荷できそう」と状況を迅速に把握してもらい、市場としても一定量を確保することができました。量販店などにも影響するため、非常に助けられた事として記憶に残っています。 また、鮮度や配送の点を考えると、市場からの距離も大切です。いるま野管内のサトイモやホウレンソウは関東圏で圧倒的なシェアを誇っています。市場としても、新鮮な農作物を大量ロットで仕入れることができる重要な産地として捉えています。―青果流通における「課題」と、今後JAに「期待すること」は何ですか? 国内で生産された青果物は、約9割が市場を経由しています。しかしながら、生産者の高齢化やライフスタイルの変化に伴う消費の低迷など市場を取り巻く環境は厳しさを増しています。こうした中、いかに産地と一体となって農作物を流通させていくかが今後の課題となるでしょう。 いるま野管内は、多くの若手農業者が活躍しています。市場全体の拡大が難しい中、現在の生産量を維持していくためには、若い人の力と消費者の求める新たな品目への挑戦が必要です。元々定評のある高い生産技術と良質な土壌を活かし、しっかりと次世代に継承していってほしいところです。 JAいるま野さんは今後も農業者をしっかりとバックアップし、今以上に必要とされるJAになってもらえれば、農業や市場にとって明るい未来が拓けてくることでしょう。東京都中央卸売市場大田市場内に本社を構える。全国から届く青果物や加工品を競り、相対などの方法で仲卸、小売商などに販売している。売上高は、青果物卸売業界ではダントツトップの2,000億円超。生産者と消費者を結ぶコーディネーターとしてニーズをいち早く捉え、安心・安全な青果物の供給と消費者の健康維持を目指すベジフルセブン運動にも取り組んでいる。東京青果㈱関東圏で圧倒的なシェアを誇るいるま野産のサトイモ。出荷先は全国の量販店や料亭など。JA野菜一元共販連絡協議会の池上善一会長(左)より表敬訪問を受ける富田部長。池上会長は、いるま野産農産物の引き続きの販売を要請。05「いるま野」2019.4

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