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JAいるま野と狭山茶

JAいるま野と狭山茶

 

埼玉県の特産品として知られる「狭山茶」。
JAいるま野では茶の専門農協、JA狭山茶業との合併を機に、今後もより一層産地の振興と茶農家の経営安定に向けて取り組んでいきます。
今月号の特集では、JAいるま野と「狭山茶」について紹介します。

 

「狭山茶」――これまでの取り組み

 「狭山茶」は、埼玉県西部を中心に生産されるお茶の総称です。「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」と茶摘み唄でも歌われるように、静岡茶、宇治茶とともに日本三大茶として知られています。
 中でも「狭山茶」は、他産地に比べ寒冷地で栽培されているため、葉肉が厚くコクのある味わいを楽しむことができます。JA管内の生産量は、年間およそ600トン。200件以上の茶工場が存在し、その多くが「自園・自製・自販」(※)という、独自の方式で経営しています。
 JA農産物直売所や量販店などでも販売され、私たちの身近に存在する「狭山茶」。JAいるま野では、こうした茶産地のJAとして一翼を担うべく、「狭山茶」の生産振興や生産拡大、PR活動などに積極的に取り組んできました。具体的には、①栽培指導②荒茶購入・仕上げ・袋詰め・販売③荒茶共同加工施設(所沢市富岡)の管理④量販店やバイヤーへのPR活動などで、その内容は多岐にわたります。
(※)「自園・自製・自販」:各茶園が自ら栽培し、自ら製造し、自ら販売すること。茶産地としては珍しい経営スタイル。消費者の声を茶園管理から製造工程で直接活かすことができるため、同じ「狭山茶」でも店舗ごとで違った味わいを楽しむことができる。

 

JAいるま野狭山茶センター 入曽茶工場外観

JA入曽支店すぐそば。茶農家とJAの新たな懸け橋となる「JAいるま野狭山茶センター」の入曽茶工場。新たな歴史がここから始まります。

合併――その背景とこれから
 近年、日本茶(リーフ茶)の消費動向は大きく変化しています。消費者の嗜好しこうやライフスタイルが変化し、ペットボトル飲料としての緑茶が広く流通するようになりました。しかしその反面、一世帯当たりの消費量は、年々減少傾向を辿っています。
 そこで、こうした状況に歯止めをかけようと今年4月1日、JAいるま野はJA狭山茶業と合併しました。JA狭山茶業は製茶や卸売りを行っていた茶の専門農協。茶農家から仕入れた荒茶を仕上げ加工し、JA系統や卸売業者、一般顧客向けに販売してきました。(「JA狭山茶業のあゆみ」についてはこちら
 今後、JAいるま野では合併を機に、JA狭山茶業が長年培ってきた強みとノウハウを活かして新たな「JA狭山茶ブランド」を構築していきます。産地の振興と茶農家の経営安定を目指すべく、茶農家との連携をこれまで以上に強化して共存共栄を図り、全国に向け組織力を活かしたPR活動に取り組んでいきます。
 そして、その最たる柱となるものが、新たに取り組んでいく「狭山茶」の委託加工事業です。

 

「自園・自製・自販」を支える仕上げ加工技術

 委託加工事業では、茶農家から預かった荒茶を茶農家の「味」に合わせて加工し製品として仕上げていきます。荒茶は形が不揃いで水分量も多く、そのままでは製品としての価値を維持できません。そのため、荒茶をさらに乾燥させ粉や茎などを取り除き、形を整え調整配合することで、消費者や茶農家ごとの嗜好に合わせた製品になるよう仕上げていくのです。
 しかし、仕上げ加工技術はそう簡単に出来るものではありません。長年の経験はもちろん、高度な技術を要します。JAいるま野では、10年以上の経験を持つベテランスタッフと最新鋭の機器を揃え、茶農家の「自園・自製・自販」をサポートしていきます。(詳細は下記『JAいるま野「狭山茶」委託加工事業 委託内容とその設備』図参照)

長年に渡り「狭山茶」の発展に貢献してきた若山通男職員(右)。後継者の指導にもあたります。

営農経済部 購買課 狭山茶センター(入曽)

仕上げ加工歴12年
石森 宏昌

伝統ある「狭山茶」に携わりたいと茶の世界へ。「毎日が勉強。しっかりと経験を積み、この道を究めたい」と飽くなき探求心の持ち主。ほうじ茶加工のスペシャリスト。

仕上げ加工歴16年
井上 彬

「火入れ作業は、味を決める重要な仕事。委託加工は個々で求められるものが全く違うので、ミスは許されない」と話す。入間市出身。茶農家からの信頼も厚い。

JAいるま野「狭山茶」委託加工事業 委託内容とその設備