JAいるま野 広報誌 2019.1 | No.273
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 顔振峠に向かう途中の南斜面。小さいながらも綺麗に管理された圃場を見つけました。持主はご先祖様からの畑を大切に継承する加藤さん。4年程前までお勤めをされていたそうで、ご両親に代わって今はジャガイモ・ネギ・ダイコン・コマツナなどを栽培しています。「この辺りは買い物も遠いから、食べる分くらいは自分たちで作らないと」と笑顔で話してくれました。 「昔、この辺りは旧東吾野村の村長さんの家もあって、収穫期には斜面いっぱいに植えられた麦を大勢の人たちが手伝いに上がって来たのよ。その内に人が山の上に集まるようになって小学校もできてね。うちでも斜面いっぱいに2反くらい、色々なものを作っていたわ」と当時を懐かしそうに話します。 最近、電気柵を新調されたそうで、サルは出ないものの、イノシシ対策に設置した柵をシカが跨いで入ることが続いたので、今年からシカ対策用の電気柵にしたと言います。今では獣害に遭う事もなく、できた野菜は近所の人や親戚、子供たちに送って喜んでもらっているそうです。 もちろん小さい頃から祖父母や両親の働く姿を通じて農業には慣れ親しんできたという加藤さん。それでも自身で畑をしっかり管理できているのは、今年亡くなられたお母様からの伝授があってのことだと言います。「随分色々と母には教わりました。教えてもらったことは全てノートにメモしているので、それを見返しながら作業をしているの。いつもは草刈まで全部自分でやっているのよ」 夏の猛暑もあってさすがに今年は体調を崩したと言いますが、今ではすっかり元気になって、友達と車で出掛けることも多いそうです。「昨日も農協さんには年友旅行でお世話になって、日光まで行って来たの」と元気に話す加藤さん。「畑はご先祖様からのものだから、大切にしなくちゃね」と、農業を続ける理由を話してくれました。飯能市 長沢加藤 京子さん(70歳)標高500m近くとなる加藤さんの庭先からは、奥武蔵や奥多摩の山並、遠くには富士山も望むことが出来る。傾斜地特有の作業「逆さ掘り」(さかさっぽり)。土が落ちないよう下から上に鍬を入れる。これも山における伝承の技。お母様の教えが書き込まれている大学ノート。何十ページにもわたって、農業に関することがびっしりと書き込まれていた。04「いるま野」2019.1

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