JAいるま野 広報誌 2018.8 | No.268
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川越農林振興センター 技術普及担当 ☎049-242-1804水稲の斑点米カメムシ対策について1 形態と生態 斑点米の原因となるカメムシ類(以下、斑点米カメムシ類と呼ぶ)は、埼玉県内で53種確認されていますが、河川流域の水田地帯では、アカヒゲホソミドリカスミカメによる被害が最も多くなっています。 アカヒゲホソミドリカスミカメ成虫の大きさは、体長5〜6㎜、幅1㎜程で、イネ科植物で越冬し、そこで増殖します。 幼虫は年3回発生し、雑草地では5月頃から成虫が見られる様になります。(写真1)2 被害の様子 斑点米カメムシ類は、登熟中の穂に口針を刺して吸汁します。 アカヒゲホソミドリカスミカメは小さく、また体色も緑色のため、畦畔から水田を観察しても全く気が付きません。 被害を受けた籾は、収穫時に一部が黒変して斑点米となり、玄米の品質を低下させます。 斑点米は除去が難しく、混入した場合は検査時に異物扱いとなるため、等級低下となります。 写真2は、アカヒゲホソミドリカスミカメによる被害の一例です。 玄米にできる斑点の現れ方は、カメムシの種類や加害時のイネの登熟段階で変化しますが、斑点の中心部にカメムシが刺したあとの小褐点が認められます。3 発生について 斑点米カメムシ類は、主に河川敷の堤防や牧草地、休耕田や畦畔のイネ科植物で生活し、イネが出穂し始めると水田に移動します。 このため、栽培地域の中でも、出穂期が早いイネで、生息場所に近い水田ほど被害を受けやすくなります。 斑点米の発生は、高温・少雨の年に多く、加害は乳熟期に集中しています。4 防除時期と防除方法 ①耕種的防除 斑点米の被害を防ぐためには、適期の薬剤防除とともに、水田まわりに生えている雑草の管理が重要なポイントになります。 水稲作付の有無にかかわらず、年間を通じた雑草防除は様々な病害虫対策の基本ですが、斑点米カメムシ対策に関しては「出穂期の前後2週間」の間、草刈り・除草剤散布を行わないことが対策となります。 この時期に雑草防除を行ってしまうと、生活の場を失った斑点米カメムシが、水田のイネに向かって次々と移動してしまうからです。 ②薬剤防除 薬剤防除に当たっては、土着の天敵昆虫やミツバチ等への被害を軽減させるため、直接薬剤がかかりにくい剤(キラップ粒剤、スタークル豆つぶ剤等)を使用し、ミツバチの活動が最も盛んな時間帯(午前8時〜正午頃)を避け、可能な限り早朝または夕刻に行ってください。 なお、キラップ粒剤は出穂10日前から出穂期、スタークル豆つぶ剤は出穂後7日から10日後の施用が効果的です。 農薬の使用に当たっては登録内容を確認の上、正しく使用して下さい。写真1写真207「いるま野」2018.8

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